株式会社バリュー・エージェント代表のブログです。

一矢

どんな会社にも1度や2度は経営危機という
あまり有り難くない出来事が訪れるものだと思います。

当社の場合は昨年がそうでした。
当社全体の売上高の実に2割を占めていた
大口客先の契約が根こそぎ他社に移行してしまったのです。

創業間もない時からのお客様で、
「誰にも負けないサービスを作りましょう」と意気込み
色々と試行錯誤しながら一緒にサービスを作り上げ
共に売上を伸ばして来たという自負があったので、
他社に負けるとは夢にも思わなかったし、
先方の社長には色々厳しい事は言われても、
何だかんだ言ってこれまでの信頼関係は相当強固なもので
全部ひっくり返る事はないとたかをくくっていました。

そんな楽観がもろくも崩れ去り
悪夢が現実となったとき
精神的なショックは相当に大きかったのですが
おちおちヘコんでもいられない程
会社の収支に与える影響は甚大でした。

2割の売上が落ちるというのは尋常じゃありません。
我々の仕事には仕入れがありませんから、売上=粗利益。
固定費は売上が落ちても変わらないから、
売上減=純利益の喪失ということになる。

ところが純利益は10%もないから
一気に大幅な赤字転落。
内部留保だってそんなに多くはない。
まさに倒産の危機です。

入っていた保険は皆解約し、銀行を廻っては片っ端から借入の申込をし、
一部の事業は他社の譲渡し、その為の事務所は引き払い、
人員も減らして何とかピンチを脱しました。
実にハードな体験でした。

その大口契約が穫られた理由は純粋に当社の努力不足によります。
競合先がアンフェアな手段をとった訳ではなく、
正々堂々、価格とサービス内容、企業としての信頼度、
その他諸々、とにかく負けたのです。

それを素直に認めるのに少々時間を必要としましたが、
だからといって、単に負けを認めて諦めたら競争社会では生きていけない。
なので、ずっとリベンジの機会を伺って来ました。

臥薪嘗胆ではないけれど、業界内の悪評にも耐え、
不安に思う社員を励まし、さらに銀行からお金を借りて
信頼に足る組織体制を整備して
保険会社と交渉を重ねて今まで以上に有利な条件を用意し
競合先に対抗する体制を整えて来ました。

その甲斐あって今回ようやく、ちょっとリベンジに成功。
以前のお客様ではなく、別の企業ではありますが、
当社から客先を奪っていった会社から逆にお客様を奪取することに成功したのです。

売上規模的には以前のお客様にはまだまだ及ばないものの、
ポテンシャルは十分です。
これから一緒にサービスを大きく育てていくお手伝いをしたいと思います。

すこし前「倍返し」だの「10倍返し」という言葉が流行りましたが、
現実のビジネスではそんなに格好よくはいきません。
相手だって必死に防御姿勢を取っているのだから、
せいぜい頑張っても「一矢報いる」程度が精一杯かと思います。
でもそれを積み重ねていけば、いずれ大きな変化が訪れる。
そう信じてこれからも矢を放っていきたいと思います。

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