株式会社バリュー・エージェント代表のブログです。

旧態依然

先日某大手生保会社の社員の方々と某政府系金融機関の方が大勢で来社され、
当社が扱う住宅ローン【フラット35】に付随する団体信用生命(略して「団信」)について
付保率アップのお願いに来られました。
数日かけてフラット35を扱うモーゲージバンク代理店を一緒にぐるぐる回っているのだとか。
背景としては、近年団信の加入率が低下しているという事実があります。
 
通常、銀行などで住宅ローンを借りると、ほぼ強制的に団信に加入させられます。
団信といっても、単なる掛け捨ての死亡生命保険なのですが、
ローンの借り手に万一の事があった場合に、保険会社から金融機関に対して直接保険金が支払われ、
その保険金によって債務(借入金の残額)が一括返済されるという点が、一般の生命保険と異なります。
(一般の生命保険は、死亡保険金受取人は法定相続人とするのが通常)
 
そんな中で【フラット35】の場合は、この団信が任意加入であるため、
最近は団信に入らず、その代わりに一般の生命保険を選ぶ人が増えているのです。
 
商品名の頭に「団体」と入っているからといって、団信の保険料が割安なわけではありません。
年齢に関わらず保険料が一定なので年配の方はいいでしょうが、若い人はかなりの割高感がありますし、
かつ保険料支払い方法も年払いしか選べません。
また、加入時の健康状態の告知については、ちょっとでも項目に引っかかると、もう加入できませんし、
保障内容も死亡と高度障害だけ。。。
 
一方普通の生命保険は、年齢や喫煙の有無等によっては、団信よりもはるかに安く加入できますし、
健康状態が悪くても条件付きで入れる場合もあります。
また、亡くなった時だけでなく、病気で就業不能になったり、生活習慣病になって長期入院したりしても
保険金が受け取れる商品もありますし、保険料の払込方法も年払いの他、月払いや一時払いも選べます。
さらに、途中で何度も保障内容を見直しができたりと、団信よりもはるかに利便性が高くなっています。
消費者の選択は当然のことです。
 
ところが、それで困るのが、借り手に万一のことが起きても債務の弁済不能は回避したい金融機関と、
団信市場という巨大なマーケットの利権を確保しておきたい大手生保会社。
 
特に生保会社の団信担当部署の人には相当な危機感があるのでしょう。
モーゲージバンク側も某機関を通じて相当に圧力をかけられているようで、
団信付保率が一定以下になると、融資に伴う代理店手数料を減額すると言っている会社もあります。
実際、当社はあまり団信については「優等生」ではないので、チクチク言われています。
 
でもねえ。。
団信であっても、総額では百万単位で保険料を支払う高額金融商品であることには変わりないでしょ。
一応、我々保険屋にしてみれば、他にお客様のニーズに合致すると思われる商品があるのに、
「目をつぶってこれに入って下さい」とは言えませんよ。
職業人としての倫理に反しますから。。
保険会社も一般代理店には消費者の意向に沿った商品を提案しろと言う一方で、
金融機関代理店には圧力募集を働きかけるというのは矛盾しますね。
そもそも団信なんて本当に必要でしょうか?
金融機関としては、万一の際の債務弁済が確実に行われれば良いのでしょうから、
単に普通の生保に質権設定できる様にしてくれれば済む話だと思います。。
消費者目線を忘れると、そのうち「倍返し」にあいますよ。。

 

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