20年前、ごく短い期間だけ在籍していたコンサル会社では、「右脳派タイプ」「左脳派タイプ」という言葉がたまに飛び交っていました。
論理的に積み上げて説明するのが得意な人は「左脳派」、それ以外の人は「右脳派」という事だったと思います。
保険会社の営業職の経験では「熱意」や「コミュニケーション能力」といった、いわゆる「人間力」が売りでしたし、そもそもロジックを積み上げて何かを作るような現場は経験していなかった事もあり、ベテランのコンサルの方々とのやり取りの中で、「あなたは完全に右脳派だよね」とイジられた経験があります。
当時の「右脳派」認定は、褒め言葉としてではなく、「ロジカルさが足りない」、「構造化が苦手」ひいては、「パワポ(の資料作成)が遅い」という意味であり、コンサルタントとしては素養がないと言われているのに等しい言葉にも聞こえ、やや歯がゆく感じたものでした。
実際、転職直後は、まだ慣れない提案書を一つ作るにも本当に大変で、データを分析し、そこから提案ストーリーを導出して、提案の構成を考え、図を作り、色合いを調整し、フォントを揃え、レイアウトを直し……。PowerPointを開いたまま、夜中まで延々と微調整していた記憶があります。
「ここは青が良いのか、いやグレーか」
「この図は左に寄せるべきか」
「タイトルの表現はこれで伝わるか」
そんなことを考えているうちに、いつの間にか数時間が溶けていく・・。
睡魔と戦う中、〆切時間があと数時間と迫っているのに、図が浮かんでこない・・・。
子どもの頃に読んだ童話「小人の靴屋」のごとく、一眠りしている間に誰か仕上げてくれたらいいのに・・・。と何度思った事か。
ところが今はどうでしょう。
ChatGPTに「こんな提案書を作りたい」と投げれば、構成案が数秒で出てくる。Pythonを使えば一瞬でデータ分析をし、グラフまで自動生成。しかも無料。
claude、genspark、その他いくらでもパワポが得意なAIがあり、昔なら数日掛かっていたことが、数十分で終わる。しかも、かなりの高品質。
かつては尊敬を集めた「PPT職人」という職業も絶滅危惧種になるのかもしれない。いや、すでになっている。
そう考えると、これまで“左脳的能力”と呼ばれていたものの多くは、かなりAIに代替されていくのでしょう。
「論理整理」、「構造化」、「要約」、「分析」、「資料化」、「翻訳」、「コード生成」etc..
昔は「頭が良い人」の専売特許だったものが、今や月額数千円で使い放題です。
一方で、AIがまだ苦手そうなものもあります。
「何となく上手く行く気がする」
「なぜかこの人とは縁がありそうだ」
「数字は悪くないが、何か違和感がある」
そんな、説明不能な勘ピューターというやつです。
考えてみれば、経営の意思決定など、最後はほとんど勘みたいなものだし、むしろ常識ではありえない決断が、その後の会社の成長を支えていたりする。
知識や論理的思考力、常識的・倫理的な判断、こういったものはもうchatGPT達に任せればいい。
一方でそうした連中に職を取られないためには、常識にとらわれない発想を持ち、考えるより先に行動し、コミュニティを作り、面白い話で盛り上げられる。こういうスキル(?)を磨かないといけないし、実際にそうした人が重宝されるように思います。

そういう意味では、これからは「右脳派」が活躍する時代なのではないかとも思います。…もっとも、昔「右脳派だから」と言われていた人間の負け惜しみかもしれませんが。
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