株式会社バリュー・エージェント代表のブログです。

天災危険と賠償責任

 「東日本大震災の津波で宮城県石巻市の幼稚園の送迎バスが流され園児が死亡した事故を巡り、

園児4人の遺族が幼稚園側に2億6700万円の損害賠償を求めていた訴訟で、
仙台地裁は17日、園側に1億7700万円の賠償を命じる判決を言い渡した。

斉木教朗(のりお)裁判長は、当時の園長らが地震後の津波を予見できたと指摘。
園児の安全な避難のために情報収集する義務を怠り、海側にバスを走らせて園児らの命が失われたと断じた。

判決によると、幼稚園は高台にあり、そのまま園にとどまっていれば命は助かったという。
送迎バスは津波で横転し、火災に遭い、園児5人と職員1人が死亡した。

津波の犠牲者遺族が賠償を求めた訴訟で判決が出たのは初めてで、
今後他の同種の訴訟などに影響が及ぶ可能性がありそうだ。」

上記はCNNニュースからの引用です。
ご覧になった方も多いでしょう。

集客施設等を持つ企業のリスクマネジメントを考えると、相当にインパクトが大きい判決です。
記事のコメントにあるように、今後類似の訴訟が次々とおこる可能性があり、
敗訴した場合に、企業によっては致命的なダメージを受ける事は間違いありません。

一般的に、集客施設を持つ企業や、学校、病院等では、施設の使用・管理上の瑕疵に起因した
賠償事故の発生にそなえて「賠償責任保険」に加入しています。
しかし、地震や津波などの「天災」に起因する事故については絶対免責事項(特約等でも補償できない)
に該当し、一切補償対象とはなりません。

ですので、保険会社も代理店も、
お客様から「地震の際に、自社施設に来場されていたお客様がけがをした場合は補償対象となるのか?」などと
聞かれた際には、
「地震等の天災については、賠償責任保険のお支払い対象とはなりません。
ただし、そもそも天災の場合は賠償責任自体が発生しないので、大丈夫ですよ」と答えるのが通例でした。

しかしながら、今後は、天災の場合であっても、直後の対応を誤れば賠償義務が課せられる可能性があり、
商売を営むあらゆる企業がリスクマネジメント体制を構築をしておかなければならない事が
改めて確認されました。
同時に、天災の場合も補償対象とするよう保険商品の改訂も望まれるところです。
でなければ、次にまた大きな地震や津波がやってきたときに、多くの会社がつぶれてしまいます。

ちなみに、地震や津波が免責になっているのは、「日本の」賠償責任保険保険固有の特徴です。
海外の賠償責任保険約款では地震も津波も、約款上免責になっていません。
なので、海外の約款を使う事ができれば地震や津波の場合であっても補償対象とする事が出来ます。

当社では昨年より一部の保険会社と交渉して
「天災危険担保」の賠償責任保険を販売しております。
ご興味ある企業は是非お問い合わせ下さい。

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