MGAとは
米国の保険業界には「MGA(Managing General Agent)」という業態があります。MGAは、保険会社と一般代理店の間に立ち、引受権限や商品開発、リスク管理、販売支援などを担う存在で、近年急速に成長している保険流通チャネルの一つです。
アメリカでMGAビジネスが急成長している背景には、いくつかの要因があります。
- 保険会社のコスト削減ニーズ:保険会社は、販売チャネルを維持・管理するコストを削減するため、MGAを活用することで代理店や顧客対応の負担を軽減しています。
- 専門性の向上:MGAの中には特定の分野に特化した専門知識を持ち、保険会社から一定の引受権限を与えられているところもあり、保険会社のリスク管理を効率化しています。また、一般代理店側も自社単独では調達できない保険商品をMGA経由でなら扱うことができ、顧客対応力が向上する事にも繋がっています。
- テクノロジーの活用:データ分析やAIを活用した引受プロセスの最適化により、MGAは迅速かつ正確な保険引受を実現しています。
- 多様な商品開発:MGAは市場のニーズに応じた柔軟な商品開発を行い、新たな保険商品の創出に貢献しています。
このMGAの考え方を応用し、日本でも新たなビジネスモデルの展開に活かしたいと考えています。
日本版MGAの必要性
近年の世界的な気候変動によって、自然災害リスクのマーケットはハード化が続いており、損害保険会社の収益圧迫要因になっています。 加えて少子高齢化の進展による人口減少、デフレ環境下での景気の低迷等もあり、日本国内の保険会社は営業店舗やリテール要員のリストラを進めざるを得ない状況です。
一方で、保険業法の改正により、永年の悪しき二重構造の解消、代理店に対するより厳格な管理が必要とされ、これまでの業界慣習から大きな変革を求められています。
特に乗合代理店に関しては、複数の保険会社商品を顧客へ推奨する際の公平性や透明性の確保がより厳しく求められるようになり、今回の保険業法改正では、特定大規模乗合損害保険代理店に対して、以下のような体制整備も義務付けられました。
- 自動車修理業などを兼業している場合に、保険金の支払いに不当な影響を及ぼさないよう、兼業業務を適切に監視するための体制整備
- 営業所ごとに法令等遵守責任者の設置、および本店等にその統括責任者の設置
- 苦情の適切かつ迅速な処理のために必要な体制整備
このような環境の変化に対応し、代理店業務の高度化と持続可能な成長を個社の努力だけで実現していくのは、多くの代理店にとって非常に高いハードルとなっています。
これらのハードルを越えていくために、いよいよ日本においても保険会社と一般代理店の間に位置するような、「MGA」のような存在が必要となってきているのではないかと感じております。願わくば我々がその新たなプレイヤーとして「日本版MGA」と呼ばれる存在になれれば・・。そう願ってやみません。
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