株式会社バリュー・エージェント代表のブログです。

社長の誓約書

久々に閣僚入りして張り切りすぎたのか、田中文科相がミスジャッジして
釈明に追われていますね。
しかし、早めに訂正したおかげで、何とか犠牲者を出さずにすみそうです。
良かったと思います。
 

組織トップにいて、常に重要な決断を任されていると、時に独善的になって、
周囲の状況をよく把握しないまま誤った判断を下してしまう事があります。

私も過去、何度かやらかしておりますが、よく記憶している手痛い失敗事例として、
以前住宅ローン部門で現場担当者が良心に基づき行った判断を、
経営判断、というより私の独断で覆して大騒ぎになった事があります。

当然その担当は怒り、猛反発しましたし、更にその事実を知った部門の責任者は、
そんな私の下ではやっていられないと辞めて行こうとまでしました。

結局、私が平謝りに謝って、何とか社員の慰留はできましたが、
私なりに反省の気持ちを態度に出そうと思い、
「今後は現場の意向を無視した、独善的な態度は絶対に取りません」
という「誓約書」を作成し、捺印して、部門全員に配りました。

考えてみれば、社員が入社する時には会社に迷惑をかけないという主旨の誓約書を取るのに、
社長自身は何も社員に誓約せず、間違いを犯しても平気でいるのはフェアではありません。
取締役として商法上の責任は負っているとはいえ、間違った判断をすることで
会社を危機にさらし、社員の生活を困窮させてしまう事だってあるわけですから。

人間であれば誰でも間違えることはあります。組織のトップだってもちろんです。

小さな会社でもあらゆる仕事に精通し、専門性が発揮できるわけではありません。
だから現場の社員を育てて信じて任すということが必要になります。

その件があって以来、会社の施策でも何でも自分で決めて指示を出していたそれまでのやり方を改め、
「私は物事は決めない。決めるのは現場の皆さん。皆が決めた事を決断するのが私の仕事。」
と極力言うようになりました。不思議なもので、それ以来、私の仕事は結構楽になり、
現場のコミュニケーションは良くなりました。
恥はかきましたけど、おかげで私も組織も成長させてもらえたようです。

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