株式会社バリュー・エージェント代表のブログです。

損保代理店数等統計

社)日本損害保険協会が2022年度の損害保険代理店数および募集従事者数を発表しました。それによれば、2022年3月末時点での損害保険代理店数は15万6千152店、募集従事者数は184万5千354人とのことです。

社)日本損害保険協会HPよりデータを引用し当社にて加工

上のグラフでお分かりのように代理店数は相変わらず減り続けています。一方募集従事者数はここ数年横ばいでしたが、2022年度急減しました。募集従事者が減った原因は、恐らく高齢による引退者の増加でしょう。下のグラフは、日本代協が調査した損害保険代理店の従業員の年齢構成です。世代交代待ったなしの状況が見てとれます。今後業界を挙げて若い人を増やす努力をしない限りさらに募集人数は減少していくものと予想されます。

社)日本損害保険代理業協会「代協正会員実態調査 報告書」 より引用

チャネル別の代理店数の推移を見てみると、下記グラフの通り依然として自動車関連代理店数が多く全体数の半数以上を占めている事がわかります(グラフ最下部の青い部分)。様々な不正が明るみになった「○ッグモーター」などの修理工場代理店もこちらに入ります。

なお、世界一の保険大国である米国では、専業の保険代理店・ブローカー以外はほぼありません。日本と比べ代理店・ブローカーの登録要件が厳しく、コンプライアンス、ガバナンスが強く求められることに加え、訴訟社会であるため、顧客に万一誤った説明をすればすぐに訴えられてしまうというリスクがあるので、片手間にはできるような生易しい事業ではないからです。

また、日本では大企業であればグループ内に「機関代理店」を作るケースが多いですが、これも米国では考えられません。コスト削減のため少しでも安い保険料で保険加入をしたい親会社と、手数料確保のためには保険料は高い方が良い子会社代理店とで利益相反が起こるからです。

大手鉄道会社などの保険料入札をめぐって大手保険会社社員による談合事件が明るみになりました。その事件の詳細は知りませんが、「機関代理店」の存在が保険会社間の競争を緩和している事例は私の経験でも多々あります。

社)日本損害保険協会HPよりデータを引用し当社にて加工

代理店の集約化も進んでおり、代理店規模は年々大型化が進んでいます。下記は1代理店あたりの平均募集従事者数をグラフ化したもの。どのチャネルも増えているのがわかります。

社)日本損害保険協会HPよりデータを引用し当社にて加工

赤い線が専業代理店、オレンジの線がチャネル平均(ただし、人数が突出して多い旅行業、金融機関、運輸・通信は除く)ですが、特に専業代理店の大型化が顕著です。保険会社主導の代理店統廃合、特に専業チャネルの再編が進められている事がわかります。

先日、関西の複数の代理店が、代理店手数料の「ポイント制度」をめぐり、“大手損保側が優越的地位を濫用し、報酬を減額している”などとして、公正取引委員会に是正を求める申告を行うという事がありました。

そんなハレーションが起きつつも、今後さらに代理店チャネルの再編は加速していくでしょう。時代の流れとしか言いようがありません。

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