株式会社バリュー・エージェント代表のブログです。

「これしか売れない」が一番強い?

 一般に乗合代理店は専属よりも常に有利だと思われているかもしれません。
日本の代理店の8割は「一社専属」と言われていますが、その代理店主の多くは、できることなら乗合代理店になりたいと思っていると思います。

 実際、仲間の専属代理店主の方から「どうすればうまく乗合えるのか」といった相談を受けたりもします。

 しかし、実際に乗合代理店を経営する者の立場からすると乗合と専属のどちらがいいかは微妙な問題です。

 一つは手数料問題。

 少なくとも損保分野に関して言えば、乗合代理店は保険会社から受け取る手数料率において専属の代理店よりも不利な扱いを受けています。同じ売上、同じ業務品質であったとしても、5%~10%位手数料が低く設定されているのです。

 そして、もう一つが「品揃えの確保」が「売上の増大」に結び付くとは必ずしも言えないこと。
商材の性格上、売上高はセールスパーソンの力量にかかっていますが、品揃えを多くし、武器をたくさん持つから「セールス力」が増すとは限らないということです。

 これまで色々なセールスパーソンを見ていますが、どうも「品揃えの確保」と「コンサルティング能力」はトレードオフの関係にあるようです。

品揃えを確保し、たくさんの会社の商品・サービスを扱えるようになればなるほど、現場の販売・営業スキルは落ちて行く傾向にある気がしてなりません。

 車でも保険でもトップセールスと言われる人たちは、特定メーカーの商品しか売れない環境下の方が多いと聞きますし、実際、当社内で期間を区切ったキャンペーンなどをやってみても、コンスタントに成果を挙げてくるのは元々1社専属の会社・代理店で長く働いていた人達や、自身が取扱う会社を絞っている人達ばかり。本来数多くの「武器」の取り扱いに慣れているはずの人達は、実は成果をあまり伸ばせないようです。

 通販会社がシェアをどんどん伸ばしている中で、対面販売チャネルを担う我々の価値は、お客様自身が気づいていない、いわゆる潜在化されたニーズをどう引き出すかというところにありますが、残念ながら、品揃えを増やすことで、知恵を絞ることを忘れ、「商品比較をすること」=「コンサルティング」だと勘違いするスタッフが出てくる。

 経営者とすれば、現場で働く社員が少しでも販売成績を伸ばせるように、多くの商品を取り扱えるような環境を整えてやりたいと思うものですが、しかし、恵まれすぎる環境はかえってマイナスになることもあります。
ジレンマですね~。。

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