株式会社バリュー・エージェント代表のブログです。

さんづけ文化

熱戦が繰り広げられた2022FIFAサッカーワールドカップもいよいよ終幕です。日本チームの躍進もさることながら、強豪国のレベルの高いサッカーにすっかり魅了されました。終わってしまうのが本当に寂しい・・・。

なお、Abema TVの解説をしていた本田さんが、出場している選手の名前を呼ぶときに、ご自身と関係性の強い選手は呼び捨てながら、そうではない選手は年下であっても「三笘さん」「堂安さん」と「さん付け」で呼んでいたことも話題になりました。呼び捨てが当たり前だったこれまでの解説と比べ、世間では好意的に受け止めている声が多かったように思います。

一般的に、自由闊達な社風を売りにしている会社では、社内で互いに役職名では呼ばずに「さん付け」で呼ぶ会社が多いと思います。かつてお世話になった、東京海上日動という会社でもそうでした。同社では上司を役職名では呼ばず、役員に対してすら平気で「○○さん」と呼ぶことが許されていました。

一方で、上司や先輩によっては、部下や年下の後輩社員を呼び捨てにしているケースは普通にあったように思います。私もたいてい先輩や上司から「千秋」と呼び捨てにされてましたし、未だにかつての上司や先輩に会えばそう呼ばれます。またそれについてあまり違和感は感じないまま今日に至っています。

当社においても、社内は役職では呼ばないという文化でこれまでやってきていますが、若手社員に対しては、呼び捨てにしているケースは多くあり、私自身も社員によっては呼び捨てにしているケースもありました。ですが、少し前に社員全員に対して、社内では上下関係に関係なく全員を「さん付け」で呼び合おうとメッセージを送りました。

上司・先輩が部下・後輩を呼び捨てで呼んでいたら、上下関係が固定されてしまいます。「○○君・ちゃん』も同様で、そう呼んだ瞬間に上下関係が生まれます。若手にどんどん活躍の場を与え、実力主義の会社に変えていこうと思ったら、後輩や部下が先輩、上司を追い抜くケースも出てくるわけで、実力とは関係ないところで無用な上下関係は作らないほうが良いと思います。

また「○○さん」と呼びかけると、その後に続く言葉も威圧的な言い方ではなく、自然に「~してください」と丁寧になります。会議等でも若手の発言を遮ることなく、傾聴の姿勢が生まれるように思います。

最近組織の「心理的安全性」という言葉をよく耳にします。「心理的安全性」とは、組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のことです。組織行動学の研究者が1999年に提唱した心理学用語で、心理的安全性が高まると、チームのパフォーマンスが向上するということをGoogle社が発表して以降、注目されるようになっています。

名前の呼び方ひとつで心理的安全性は崩壊する可能性があり、それによって組織のパフォーマンスは大きく上下するようです。であるならば、リーダーがつまらないマウント取りに固執しないで、体育会的呼称は一才廃し、若手も安心して働ける、モノが言える風土を作るべきだと思います。


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